「知られること」の意味 5

「社会的」という言葉はここではどのような意味合いをもっているのでしょうか。


「社会的」という語はまことに多義的です。


社会科学において「社会的」というタームは最も基本的なタームのひとつでありながら、多義的であるために、論者問でも論者と受け手の間でも無意識的な食い違いやスレ違いが生じて、それが言説のあいまいさや無用の混乱を引き起こす一因となって
います。


私がこれまで最も多くのことを学んできた社会科学者はマルクスなので、ここではマルクスの用語法について手短にみておきたいと思います。


マルクスに限ってもこの「社会的」というタームは大別六つほどの語義をもっているようです。


この程度の語義分類を行なっておくだけでも、広く社会科学全般にわたって「社会的」という語の意味を確定する上で大いに役立つはずです。


そうはいっても、マルクス文献に即して語義を渉猟するだけで十分であるというつもりは毛頭ありません。


本来なら、主要な社会科学文献すべてに当たって十全な語義分類を用意しておくべきかもしれません。

「知られること」の意味 4

売れなくても社会的意味をもつ例としては、本屋でのタダ読みなどがその代表的なものでしょう。


ブティックを何店か見て回るだけでも、それなりにファッション感覚は向上します。


日ごろから商品をあれこれ見比べているなかで、おのずと商品知識が豊かになり、モノそのものについても見る眼が養われるのです。


豊富な商品を、潜在的購買者に供示しうる経済発展段階のゆとりと寛容さがそこにはあり、それがまた人々の精神に有形無形の豊かさをもたらすのです。


乏しい物品の配給制という在り方と比べてみれば、その達いは歴然としています。


以上、商品についてみてきたことはヒトにもあてはまります。


「ヒトが社会的意味をもつものとして存在することができるためには、他者に知られていることが必要である」


「社会的意味をもつものとして存在する」というのをもっと手短に、「社会的に存在する」と言い換えても差し支えないでしょう。


要するに、他者に知られることなしには社会的意味をもつものとして存在することはできません。


「知られている」という契機は自動車がメーカーにとって物理的に存在するという場合にも必要なのです。


しかしその場合には、「他者に知られている」ということまでは存在の要件とはなりません。

「知られること」の意味 3

商品に関しては、他者に知られていることが存在の要件をなすのです。


もちろんそれは、ひとつの必要条件であって必要十分条件ではありません。


ただ単に他者に知られさえすればよいというものではありません。


買い手たるべき他者、潜在的買い手たる他者に智れないことには、商品として現実的に存在するとはいえないのです。


「現実的に存在する」というのにも、大別して二つの意味があります。


ひとつは、商品が実際に売れるということ。


もうひとつは、売れるにいたらずとも、潜在的買い手たる他者に知られるということ。


ある商品の存在が知られたとしても実際に売れるにはいたらない、というケースもむろんよくあることです。


しかし何はともあれ、知られないことには話になりません。


知られることによって社会的意味を帯びるのです。


たとえ売れるにいたらずとも、一定の社会的意味をもつのです。

「知られること」の意味 2

買い手たるべき人々に全く知られないままであるとすれば、そのモノに買い手がつくことはないですから、商品としては失格です。


それは物理的には、何らかのモノとして存在しても、商品としては存在しなかったことになります。


モノが物理的に存在するという事実は、作り手が容易に現認しうることで、ヒトーモノ関係の認識枠組があれば事足ります。


たとえば自動車メーカーにとっては文句なしに「自動車は存在する」。


しかし自動車が「商品として」存在するためには、買い手たるべき他者の存在が不可欠の契機をなします。


つまりヒト-モノ関係という認識枠組では不十分で、他者の存在をも組み込んだヒト-モノ-ヒト関係という認識枠組を要するのです。


売り手サイドと買い手サイドとの社会的関係が成立していないところに商品の存在はありません。


商品は社会性を不可欠の存在契機としています。


社会性とは、この場食他者との特定の関係性であり、そしてそのさつな関係性が成立するための必須契機となるのが「知られていること」です。

「知られること」の意味

商品経済のもとでは、知られていないことは存在しないことに等しいです。


これはむずかしい理屈ではありません。


商品が商品として知られていないときのことを想い浮かべてみればいいのです。


生産現場でモノを作った。


ところが、それが商品として売りに出されていることが、かりに関係者以外のだれにも知られていないとします。


潜在的購買者としての貨幣所有者は、そういうモノが購買可能であることを知らないわけです。


そのモノの存在を知らなければ買うこともできないのは、皿の上に食べ物が存在しなければ食べることもできないのと同様です。


もっとも、その昔、空腹に耐えかねて「目の前の菓子皿などをかりかりと噛みてみたくなりぬもどかしきかな」と詠んだ歌人もいましたが・・・。

フッ素の応用が進展しない理由 その2

これに関しては、今後さらに適切な濃度を決めるための研究と検討を重ねて行くことによって次第に理解と同意が得られて行くものと思われます。

また、前述のようにフッ素塗布に際しての急性中毒の危険性も言われますが、これに関しては慎重なフッ素塗布が行なわれるようになってきています。

なお、現在、わが国では、水道水へのフッ素の添加は全く行なわれていません。

現在はフッ素洗口が中心に行なわれていますので、斑状歯の危険性はなく、慎重論を唱える人たちもこの方法には異論をはさんでおりません。

他方、フッ素応用慎重論とは別に、フッ素は毒物だから、どのような形であれ、人間には使うべきではないということを論拠に反対を述べる人たちがいます。

自然食主義者を中心とした人たちの考え方です。

これらの人たちとは、科学論の違いではなく考え方に根本的な違いがあるために、全く意見の一致が見られなくなっています。

つまり、フッ素は毒物であり、毒物は使うべきではないという思想(宗教?)を基本にしているために、科学的論議の対象外にあるからです。

フッ素の応用が進展しない理由

フッ素の応用は、世界中のむし歯予防の専門家によって推奨されている有効な方法ですが、なかには、フッ素を使いたくないと言う人もいます。

また、なかには、誰かが毒だと言うようなものを、たかがむし歯の予防のためには使いたくないと言う人もいます。

世界中でフッ素の利用が進む中で、日本は一部反対者たちのために、その利用が遅れています。

フッ素応用に慎重論を唱える専門家もいますが、その主な理由は、むし歯予防のために水道水に添加する程度の量でも斑状歯が起こるのではないかということです。

わが国で、むし歯予防のために水道水へ添加する適切なフッ素濃度に関しては、確かに、まだ十分に議論が尽くされているとは言えず、今後の課題として残されている部分もあります。

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フッ素塗布は慎重に

骨硬化症はめったに見られるものではなく、極めて高濃度のフッ素を含む井戸水を飲んでいる人に見られたという報告が1、2例あった程度です。

急性中毒というのは、たくさんの量を1度に飲んだようなときに起こるものです。

フッ化ナトリウムを間違って飲んで、ごく初期の急性中毒症状(不快感、悪心など)を起こす量は、体重30キログラムの子供で6ミリグラムぐらいと言われます。

これはフッ素洗口に使われる溶液(100PPmフッ素溶液)を60ミリリットル(使用量10ミリリットル)ぐらい飲んだことに相当します。

うがい剤を通常使用量の6倍も飲み込むことは普通には起こり得ないことです。

ただし、高濃度のフッ化物溶液を用いるフッ素塗布を、小さな子供に対して粗雑に行なうと、初期の急性中毒症状を起こすことはあり得ることです。

フッ素塗布は出来るだけ慎重に行なわれなくてはいけない理由は、ここにあります。

正しく使えばフッ素の害はない その2

例えば9歳ぐらい以上(歯の頭の部分の形成が終わっている時期)の子供が誤って必要以上の量のフッ素を飲み続けたとしても起こるものではありません。

もちろん年齢にかかわらず、フッ素を塗ったり(フッ素塗布法)、フッ素でうがい(フッ素洗口法)をすることによっては斑状歯は起こりません。

すでに生えている歯が後から斑状歯になるというようなことは、絶対にあり得ないことです。

骨硬化症は、とくに年齢とは関係ありませんが、斑状歯の場合よりももっと高濃度のフッ素を飲み続けたときに骨の石灰化が進みすぎて骨が固くなってしまうものです。

斑状歯にせよ、骨硬化症にせよ、これらはフッ素を飲んだ場合であって、うがい(フッ素洗口)したり、塗ったりした場合には起こるものではありません。

わが国でも、斑状歯は、自然に高濃度のフッ素が含まれていた井戸水や、誤って高濃度のフッ素を含んだまま給水してしまった水道水を飲んでいる人たちに見られたことがあります。

正しく使えばフッ素の害はない

むし歯予防に正しく使われる範囲では、フッ素は中毒を起こすようなことはありません。

しかし、もしもフッ素の中毒が起こるかも知れないということで考えると、慢性中毒と急性中毒とが考えられます。

あくまでも、もしもということであって、通常の正しい使い方では決して起こるものではありませんので、誤解しないで下さい。

慢性中毒は、高濃度のフッ素を長期間にわたって飲んだりしたときに起こります。

慢性中毒症状としては、前にも述べた歯の表面が白くなる斑状歯と、骨が硬くなる骨硬化症とが知られています。

斑状歯は歯冠部(歯の頭の部分)の成長期(生まれた頃から8歳ぐらいまで)に高濃度のフッ素を続けて飲んだときにだけ起こる歯の形成不全症で、歯の表面が不透明に白濁し、白く縞状あるいは斑点状になったりします。

重症になると白墨のように不透明にまっ白になったり、表面が茶色になったりします。

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